お宿日記

2017年の誓い

青天の霹靂のような出来事から年を跨いで、5ヶ月が経ちました。
先日、どんど焼きを行い、新しいお札を神棚に納めた翌日の1月15日、今年の初夢を見ました。

夢の中の私は、今の『道遊』が移転する前の『旧道遊』のロビーに1人立ち尽くしていました。
そこへ先代(父親)がお金を私に届けに来て、すぐさま去って行ったのです。
そして、その横では次男と亡き長男が仲良く玄関で走り回っています。
夢の中の私は、長男がいることが当たり前だったので、違和感なく日常的な光景を見ている1シーンでした。
私が琢海を追いかけると、笑いながら外へ走り出して行き、そこで夢は覚めてしまいました。
最初は夢と現実の区別がつかず、なんだか嬉しいような、寂しいような、複雑な気持ちで朝を迎えました。
その後早朝の仕事を終え、一段落してカレンダーを見ると、不思議なことに、その日は父親の月命日でした。
このタイミングで父に会い、初めて夢に出てきた長男。
ずっと夢で良いから琢海に会いたいと願っていたので、運命を感じた一日でした。

『初心に帰って先祖に感謝し、琢海は元気でいるから安心しろ』

という父からのメッセージかな、と受け止めています。

しかし私の中では、未だ気持ちに整理がつかず、まだまだ女々しく毎日を過ごしています。

今年は、新年の挨拶を自粛しようと思っておりましたが、自分の気持ちを少しでも前に向けられるよう『琢海の父』としてではなく『道遊の館主』として一言ご挨拶申し上げます。

昨年中は休館日が多く、また夕食付プランをお受けできない状況が続き、お客様には大変ご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
それでも私情をご理解頂いた上で、ご愛顧の皆様にご宿泊いただき誠に感謝致しております。
お陰様で多難な2016年を乗り越えることが出来ましたこと、重ね重ね、深く感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。

私事で恐縮ですが、長男琢海は、本格的な治療が始まった5月9日から約3か月半の間、我が儘を言うことなく、また感情的になることなく、独りベッドの上で病と必死に闘っていました。
享年、僅か4歳です。
まだまだ、食べたい物、やりたいこと、行きたい所、多々あったと思います。
それでも狭い病室でじっと耐えていた姿は、一生私の脳裏から離れません。

今、私は生きていられることだけでも、感謝しなければいけません。
自分の足で歩き、好きな物を食べ、何気ない景色を眺められるだけでも琢海に比べれば幸せなことです。
琢海のことを思うと、自分だけ楽しいことをしたい、とか、自分だけ幸せになりたい、とか、思えなくなりました。
今すべきことは、波のように強く逞しく、真っすぐに進んだ琢海に恥じぬよう、前進することだと思っています。

これからは琢海の思いを受け継ぎ、次男を守りながら、仕事一筋に励んでいく所存でございます。
お客様には、これまで以上に快適な空間、そして安心で安全な食を提供出来ますよう、日々邁進致しますので、本年も『いさりびの宿 道遊』をご愛顧賜りますよう宜しくお願い致します。
皆様におかれましては、健康で幸多き一年となりますようお祈り申し上げます。

2017年1月21日 いさりびの宿 道遊  篠原豪

2017.01.21日記

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