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お宿日記
去る11月27日は、亡き長男・琢海の百ヶ日法要でした。
早かったのか、長かったのか、分からないまま無心で毎日を過ごし、多難だった2016年が終わろうとしています。
その間、新しい出会いもあり、今後の自分に有益となりそうなきっかけを与えてもらいました。
これも全て、琢海が引き合わせてくれたのかな?と思っています。
乏しい文才ですが、今回はその中で 『感じたことや気付いたこと』 を思いのままに綴ってみたいと思います。
過日、こだわりを持った素晴らしい生産者の方から『本物の卵』を購入しました。
どちらが自然な卵で、どちらが不自然な卵か分かりますか?
よく 「黄身が濃いオレンジで、箸で掴める卵は良質」 と耳にしますが、それはほとんど飼料で調整したものです。
平飼いで自然なエサを食べて育った鶏の多くは、右のような薄いレモン色の卵を産みます。(稀に黄色いものを産む鶏もいますが…)
黄身の濃い卵の多くは、『GMO』というアメリカなどから輸入された遺伝子組換えトウモロコシの穀物や着色料といった、自然界の鶏が本来食べるはずのないエサを与えられているのです。
そして狭い小屋に押し込められて身動き取れず、ストレスや害虫などが原因で病気になり、感染を防ぐ為に抗生物質の注射を打たれる。
そんな劣悪な環境の中で産まれた卵が、スーパーに安価で並んでいます。
そして産ませるだけ産ませたあげく、人間のために食肉として加工され鶏は一生を終えます。
それらは、果たして正道に沿っているといえるでしょうか?
それ以前に、鶏は人間の為に産まれたわけではありません。
大地があるからミミズが育ち、ミミズがいるから植物が育ち、植物があるから鶏が育ちます。
昔、小学校で習った『食物連鎖』の関係が成り立って、私たち人間が生かされているのにも関わらず、現代は虫を殺すために殺虫剤を撒き、食品には農薬や添加物、生き物には抗生剤を投与する。
全ては人間だけの為に都合が良いよう化学物質を使い、また新たな化学物質を日々創り出しています。
以前の私も同じようなことを繰り返していたので、偉そうなことは言えませんが、今回、琢海との闘病を通じて、 『 食の大切さ 』 を学ぶきっかけを与えられました。
同時に『日本の食の危険性』に気づかせてもらえたので、買わなくなった商品が本当に多くなりました。
現代は値下げ競争で、多量生産して保存料を大量に注ぎ込む。
そんな食品が溢れています。
卵一つにしても、安価な物が1個15円に対して、良質な卵は60円です。
以前の私なら60円は高いと思ったでしょうが、今はそれが本当の値打ちだと思います。
鶏にも人間のように命があり、一生があります。
その中で自らの命を削って産み落とした卵は、それだけの価値があると思います。
決して60円が高いのではなく、15円が安すぎるのではないでしょうか?
自動販売機のように産ませて、道徳に反した行いをすれば必ず天罰が下ります。
その一つが『病』ではないでしょうか?
化学物質の全てが『悪』とは思っていませんが、自然との調和を乱すものは『悪』だと思います。
確かに化学物質は便利だし、添加物の入ったものは美味しく感じます。
ただ古来の人々は、ここまで化学が発展しなくても、生活は成り立っていたし、まして今ほど病に苦しむことはなかったはずです。
私は、『その古来の人々の生活を見習いたい』 と、いつしか思うようになりました。
自然の物を、自然のまま食し、自然に逆らわない生活をする。
これが本来の人間の在り方だと思っています。
玄米を食し、天然魚を食し、天然の肉を食し、天然の野菜を食す。
『命を頂くことに感謝する』
これらが出来ていれば、体が病に侵される確率は限りなく低いと思います。
『身土不二』
私が好きになった言葉です。
「身体と土地は切り離せない関係にある」
その土地で、その時期に採れたものを食すことが身体に良い、という昔の人の教えです。
北海道の人は体を温めるものが必要であり、沖縄では体を冷やす食べ物が必要です。
バイオテクノロジーを駆使して無理矢理作った、体を冷やすための夏野菜であるトマトを、真冬に食べることが病の入口なのです。
しかし佐渡では、自然の状態の食材がとても手に入りにくいのが現状。
野菜に関しては、本物志向の生産者はたくさんいるのに、応援する企業も少ないし、存在価値に気づいてる人も少ない。
虫が苦手な方もいるので農薬を全て排除させるべきとは思いません。
ただ自然な状態の野菜を求めている人もいるのだから、「オーガニックコーナー」を設けたり、「有機商品のタグ」をつけるべきだと思います。
スーパーでは、無農薬の野菜なのに、それを示すタグもなく、また慣行栽培の物より低価格で並んでいます。
消費者が、農薬を使用して色が鮮やかで、形の整った物を選ぶからではないでしょうか?
無農薬ということは当然体にやさしく、栄養価も豊富で、何より生産者の地道な努力が備わっています。
現在は、石油を原料としたネオニコチノイド系の農薬が多く使われていますが、生命力の強い虫の神経を刺激して殺すのに、人間には全く無害だという魔法のような薬があるのでしょうか?
ミツバチの数を激減させ、朱鷺を絶滅に追い込んだ農薬が人間に無害なわけがありません。
食品添加物や遺伝子組換え食品も同じ事が言えます。
それらを当たり前のように使った食品の低価格競争が激化し、質の悪い食事をしている方が大勢います。
そして体調を崩して病院に行き、化学物質で一時的に症状を抑え込む。
当然、後に反動が返り、再発、あるいは別の病を引き起こしてしまう、という歪んだサイクルが出来上がっています。
その結果、日本の医療費は膨れ上がり、今では世界トップクラスのシェアを誇っています。
戦後1955年、日本の人口は9,000万人でした。
その50年後の2005年は1億2,800万人に増えています。
人口がおよそ1.5倍増に対して、医療費は何倍増えてると思いますか?
桁外れの170倍です。
金額にすれば30兆円を優に超えています。
それだけの医療費を国の為に使い、当然のように補正予算を組む。
一方その裏で、保育園の待機児童が増えている現実。
こんな無駄な税金の使い方をする国は、先進国では数少ないと思います。
そしてそれだけ医療や薬品につぎこんでいるにも関わらず、国民の健康は保たれているでしょうか?
私は政治にほとんど関心がありません。
国の運営を、政治家や他人に任せるのではなく、消費者・国民1人1人の意識が変われば自ずと生まれ変わると思います。
農薬や添加物や遺伝子組換え食品の規制を国が取り締まらないなら、買わなければいいだけのことです。
そうなれば当然、良質なものしか残りません。
『買い物』 は正に生産者と国民の健康を守る 『投票』 そのものです。
安価でリスクのあるものを買い続けて体調を崩し、高額の医療費を払うか?
それとも、少々高くても子供達にも安心して食べさせられる安全な食品で、健康な体を保つか?
私なら迷わず後者です。
以前の私も食事には無頓着でしたが、調べれば調べるほど「食」と「病」の因果関係が密接であることがわかります。
それに伴って、琢海が入院していた、さいたま市内では「オーガニックレストラン」や「化学調味料不使用の店舗」はとても人気があり、スーパーでは有機野菜や良質な食材が手に入りやすかったことを鮮明に覚えています。
「食べること」=「生きること」であり、「食事の質」が健康状態を大きく左右させます。
実際に佐渡にも、癌になり治療が嫌で病院を逃げ出し、自宅療養で完治した方がいます。
また、末期癌で医師から余命数か月と宣告されたのに、数年経った今もなお元気に暮らしている方も身近にいます。
発病する時も、治癒の場合も、『 ストレス 』 が大きく関係しますが、白血病や癌、その他の生活習慣病、自己免疫疾患、様々な体の不調の多くは、食生活の改善と精神のコントロールで完治してしまうのです。
夢のような話ですが、佐渡だけでなく、日本では多くの方々が難病を克服されていますし、私はその多くの方々に直接お話を伺いました。
今後この動きが国全体に広がれば、医療費は激減し、もっと必要なところへお金は流れていくのではないでしょうか?
私は、国ではなく、ここ佐渡にこの流れが来て欲しいと願っています。
首都圏や関西では既に拡がっていますが、佐渡は離島のハンデがあり、どうしても情報が遅れるのは仕方ありません。
だからこそ 『琢海が教えてくれたこと』 をもっと多くの人に聞いてもらいたいと思うようになり、こういう投稿を続けています。
以前、知人に「お前、そんな投稿ばかりして、敵作って、自分の首絞めるだけだぞ!」と忠告されました。
自分でも承知の上です。
今の自分の胸の内を全て吐き出すなら 「守るものが何も無ければ今すぐ消えたい。消えて琢海の下へ駆け寄りたい」
今でもそう思っています。
仕事もしたくないし、外に出たくない。人にも会いたくないし、会話もしたくない。
でも今の自分は、次男の涼太に生かされていると思っているので、一度捨てた命なら、命を懸けて
『琢海の思い』と『涼太』
二人の子供達を守っていこうと決意しました。
私は琢海のお陰で生き方を変えさせてもらえた。
そして、涼太に生き延びる希望を与えてもらった。
その二人の思いと過ごしていくうちに、琢海は私だけでなく、もっと広い世界を変えようとしているのかな?と感じるようになりました。
何度も言いますが、消費者が求める限り、生産者は化学物質で不自然な物を作り続けます。
これからも食が原因で免疫を落とし、ストレスが引き金となって難病になり、化学物質を投与して命を落とす方は増え続けるかもしれません。
首都圏のような自然食品での健康志向の流れは、私が黙っていても、いつかは佐渡に流れてきて、少しずつ変わると思います。
でも痛い目にあってから気付くより、少しでも早く改善し、健やかな毎日を送れるに越したことはありません。
だからこそ1人でも多くの方にこの投稿を読んで頂き、1人でも多くの方に共感して頂き、1人でも多くの方に健康を意識して頂くことを、琢海は望んでいると思います。
そうなれば佐渡ヶ島はもっと良い島になるのではないかな?と個人的に思っています。
私は、こんな偉大な息子を超えることは一生かけても出来ない気がします。
そして、そんな息子の父親でいられたことを誇りに思います。
2016年、長男・琢海に関わって下さった皆様、宿のお客様、従業員、友人、知人、家族、全ての方々に感謝し、お礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。
平成28年12月31日 いさりびの宿 道遊 篠原 豪
2016.12.31日記
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